20160217

第4回 neco論で経済

「今後の自動車業界」

 

テーマの自動車を始める前に、年明けから株、為替の乱調、マイナス預金金利と話題が多いので、まずそこから話を始めた。

 

下記講師資料から抜粋(日経新聞記事からの転載あり)

 

16年年初来の国際マーケット不安を受けて、円・株市場が大揺れ。

①中国経済の減速を映して上海の株価が大きく値崩れ。

②ブラジルなど新興国も景気後退、通貨安で世界経済のけん引力が弱体化。

③中東地域の政情混迷と原油価格の大幅下落。

⇒アベノミクスの2枚看板だった「円安・株高」に異変。

⇒日銀、追加の金融緩和策で歯止めを!!

 

 

第1次所得収支の増加基調はここ数年の対外投資を反映:円安換算の効果も。

貿易赤字:14年の10兆4千億円から15年は6434億円に減少。

サービス収支は過去最少の赤字で、旅行収支は1962年以来の黒字(1.1兆円)となった。知的財産権等使用料も2.4兆円の収入があり96年以来最高。

 

■15年の経常収支は16兆6413億円の黒字(前年比6.3倍)と、一気に反転した。

原因は、原油安による貿易赤字の縮小、インバウンド消費による旅行収支の黒字転換など、ここ1、2年に表面化した外的要因によるもので、持続力には疑問も。

 

国際収支、稼ぎ手に変化

 

直接投資収益:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払

証券投資収益:株式配当金及び債券利子の受取・支払

その他投資収益:貸付・借入、預金等に係る利子の受取・支払

輸入が原油安で10.3%減ったのに対し、輸出は電子部品、自動車で1.5%増えた。

 

さて、本題の自動車業界について

 

自動車各社の生産・販売構造の違い、収益にも反映

 

際立つトヨタとホンダの戦略の違い。輸出量が大⇒円安の直接効果大。

トヨタは「年間300万台の国内生産を死守」(豊田章男社長)との方針で、開発部隊の温存も含め、国内生産を一定規模に維持。一方、ホンダは海外市場での現地生産を徹底。日産は年産100万台規模を国内生産の目安としているが、小型車の「マーチ」を全量タイで生産するなど、生産条件を勘案し、車種に応じて内外生産を振り分けている。

 

富士重の14年度1台当たり営業利益は45.2万円、2位トヨタを15万円上回る。

富士重は14年3月期も34万円で業界1位だった。同社は12年に軽自動車から撤退、SUVを主力とし、市場戦略では低価格の新興国には手を出さず、輸出は北米市場に絞った。選択と集中に加えて、輸出比率が70%と高く、為替差益も大きい。

 

「ミライ」は世界初のFCV(燃料電池車)実用車

トヨタは「ミライ」の発売時期を1年以上早めた。

当初、発売は15年以降としていたが、EV(電気自動車)の普及が予想以上に遅れているため、その間隙を縫って早めに市場形成を狙う。

 

トヨタ、FCVの特許を無償公開

FCVの市場形成に向けて思い切った決断をした。

トヨタは特許の無償公開の期限を20年末までに限定し、開発活動を促進。

パソコンのインテル、スマホOSのグーグルなど、基本的な技術を公開してその分野の関連技術の開発を促し、市場の成長を促進する、という行き方は、グローバル時代の新手法。

 

 

日産、ゴーン改革が成果上げる

■売上、利益ともリーマンショック後は一貫して上向き基調。中国市場で日本他社に先行。

14年度の世界販売台数は前年比2.5%増の531万8千台で世界市場でのシェアは6.2%。

国内の販売は同13.3%減の62万3千台で国内シェアは0.8ポイント減の11.8%。

米国140万台(同8.9%増)、中国122万台(0.5%増)

 

ホンダ、技術本位の力量を収益に結び付ける

世界販売は過去最高

ホンダは15年度で世界販売台数は480万台と過去最高となる見通し。北米、中国の世界2大市場での販売が好調。16年度見通しでも前年度比8%増と強気の計画。

 

電池メーカーのパナソニックは米中で車載電池の専用工場を建設

■中国では500億円投資。

中国政府が環境対策のエコカー計画でEV、PHVの補助策を強化(1台当たり5.5万元)。

15年1ー11月で生産台数は29万台、前年同期比4.4倍と急成長。25年には65万台に。これを見込んでパナソニックは中国でも新工場(20万台分)を建設。

 

■米国ではテスラと大型工場を建設中。

米ではEV専業大手のテスラと共同で、約6000億円を投じて大型一貫工場を建設中。16年中に一部稼働し、20年には年産50万台分の生産能力にまで引き上げる計画。

 

 

電動モーターを使った自動車の種類について

ハイブリッド(HV)

内燃エンジンとモーターの組み合わせ。電源は①エンジンで発電機を回す方式②ブレーキ制動のエネルギーを回生モーター(発電機に切り替わる)で回収(電気に変換)する方式③両方式の組み合わせなどがある。モーター駆動は燃費向上のために補助的に使用するのが基本。

 

電気自動車(EV)

蓄電池の電源とモーターだけで走行。専用の設備でリチウムイオン電池に充電したうえで走行。航続距離は200㎞が限度で、電池のコストダウンも課題。家庭の蓄電システムとの連結が近未来のテーマ。

 

プラグインハイブリッド(PHV)

比較的大容量の電池を内臓し、EVとHVの両方の機能を持つ。家庭用の電源から充電でき、電源がなくなってもHVとして使える。

 

燃料電池自動車(FCV)

水素ガスを原料として電気を発生させる燃料電池を搭載した自動車。蓄電池に比べて格段に長い距離の走行が可能。CO2の排出なし。